Accessibility Newsletter 第1号 平成28年9月 大学説明会における障害のある参加者に対する本学の対応  去る8月6日(土)、7日(日)、11日(木)に、本学大学説明会が開催されました。今年度は昨年度に増して、多くの障害のある方の参加がありました。各学類のみなさまには、開催にあたってさまざまなご調整をいただき、ありがとうございました。  下記に、障害のある参加者の人数ならびに各学類で調整いただきました内容について、報告いたします。 (1) 学類別障害のある参加者の人数 視覚は、人文1、障害2、計3 聴覚は、国際1、心理2、障害2、生物2、生物資源1、地球1、物理1、社工1、情報メ1、芸術1、AC他1、計14。 運動・内部は、人文2、社会1、障害4、地球1、情報1、医学 2、医療科学2、AC他3、計16。 発達は人文1、障害1、工シス2、社工2、芸術1、AC他1、計8。 重複(視・聴)は障害2、計2。 ここで、AC他とは、アドミッションセンター等への参加のことである。 表は以上。 (2) 障害のある参加者に対する調整内容 1. 障害種別による代表的な調整内容 【視覚障害】  ・資料データの事前提供(音声読み上げや点字出力機器利用のため)  ・拡大資料(フォントの拡大、レイアウト調整など)の準備  ・移動の支援(会場案内、宿舎ツアー企画等) 【聴覚障害】  ・配布資料、読み原稿の事前提供(より正確な情報支援を行う助けとなります)  ・映像資料の字幕付与(字幕付与が難しい場合、事前提供いただければ、アクセ  シビリ ティ部門で文字起し作業をいたします)  ・情報支援スペースの確保(PC要約筆記のための机・電源、座席確保の張り紙) 【運動・内部障害】  ・車椅子で出入りしやすいドア近くの座席の確保  ・養護机の準備(学類で所有していない場合、アクセシビリティ部門より貸出し  いたします)  ・バリアフリー経路・設備の確認(会場案内、ツアー企画、多目的トイレ) 2. 各学類における積極的な取組の紹介 【社会工学類】《聴覚障害》グループワークの参加にあたり、学生スタッフにより付箋に文字を書く等、視覚的な情報を増やす工夫をしていただきました。 【情報科学類】《運動障害・車椅子》研究室ツアーの参加にあたり、施設内の物の配置の工夫、アクセスのよい集合場所の設定、引率学生による案内をしていただきました。 (他にも多くの学類で様々な工夫や配慮がございました。ありがとうございました。) 【障害学生支援に関する説明会】  アクセシビリティ部門では、8月6日に下記の内容で説明会を開催しました。28名の高校生が参加し、意見交換・相談が行われました。  ・本学の障害学生支援の概要説明 ・障害別相談会 ・障害学生によるキャンパスライフレポート 【解説】 7割以上の障害は”見えない” 平成27年6月号では、発達障害のある学生が増加していることに触れたうえで、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の調査結果をご紹介しました。この調査は、全国の大学、短期大学ならびに高等専門学校を対象に毎年実施されているものです。そこで、本号では同調査の最新のデータをご紹介し、ポイントを整理したいと思います。 図(省略) 出典:日本学生支援機構(2016「障害のある学生の修学支援に関する実態調査結果報告」 障害のある学生数の大幅な増加  今回の調査のポイントのひとつは、全学生に占める障害学生の割合が前年度0.44%から0.24ポイント増の0.68%となり、調査開始以来最大の増加率を示したことです。増加の理由として、JASSOは以下の2点を指摘しています。 ○これまで「その他」に分類されていたため明示されていなかった障害・疾患名(「精神障害」「病弱・虚弱」)について具体的に例示したため ○「障害者差別解消法」の施行(平成28年4月)を前にして、各大学等において、障害学生の把握が進んだため “見えない”障害への理解  急増した「病弱・虚弱」「精神障害」ならびに「発達障害」を合わせると、その数は障害学生全体の約73%を占めます。そして、これらの障害はいずれも見た目には障害があるとはわからない“見えない”障害です。「過剰に疲れやすい」「心身の状態の波が大きい」「周囲の情報を整理して取り込むことが苦手」等の修学上の調整を必要とする困難をもつことに加え、「周囲の人に理解してもらえない」こともまた、彼らの大きな悩みとなっています。7割を超える障害は目に“見えない”ことを理解し、それぞれの障害に起因する修学上の不利を解消すること(合理的配慮)が私たちには求められています。 以下、お知らせなど 平成28年度 第2回DACセンター講習会開催のお知らせ  ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンターでは、「障害者差別解消法施行後の本学の対応のあり方を考える~筑波大学版対応要領・留意事項の理解~」というテーマで講習会を実施いたします。  2016年4月より、障害者差別解消法が施行され、障害のある学生や障害のある学内利用者に対して、本学教職員が合理的配慮を提供することが法的に義務付けられました。全学的な方針と対応要領ならびに合理的配慮の具体例を記載した留意事項を周知し、学内で教職員にはどのような対応が求められるのかを考えます。 日時:9月27日(火)15:00-16:15 場所:大学会館国際会議室 (東京キャンパス文京校舎432会議室へTV会議システムにより配信) 平成28年度 全国障害学生支援セミナー (JASSO・筑波大学主催) 12月1日(木)に『大学における発達障害学生への修学支援とコンプライアンスについて考える』というテーマで、全国の障害学生支援に携わる教職員向けに研修会が開催されます。  障害者差別解消法の施行により、すべての障害学生に対する合理的配慮が重要なコンプライアンスになっています。全体講演として、大学での支援におけるコンプライアンスについて話題を提供し、分科会では、予算やマンパワーが最小限であっても実現可能な支援について情報提供と意見交換を行います。本セミナーを通して、今後の高等教育機関において発達障害学生への合理的配慮のあり方を検討する一助になればと考えております。  日時:平成28年12月1日(木)10:00-16:20 場所:新大阪ビル別館(大阪市東淀川区) ※プログラムの詳細や参加のお申し込みについては以下のアドレスをご参照下さい。 http://www.jasso.go.jp/gakusei/tokubetsu_shien/event/zenkoku_seminar/h28/1229452_8462.html 【募集】 研究協力者の募集 アクセシビリティ部門発達障害学生支援プロジェクトでは、修学支援を充実していくために研究を進めております。このたび、以下の2つの研究について、学生の方に研究協力を頂きたいと考えております。 【研究1】成績情報の提供 ●お願いしたいこと:今まで取得した単位状況一覧を印刷してアクセシビリティ部門に持参していただく ●何の役に立つの?:学生がつまずきやすいポイント(科目)を早めに発見して、スムーズな修学支援につなげることができる 【研究2】アンケートへの回答 ●お願いしたいこと:学生の方が普段から行っている修学上の工夫に関するアンケートへの回答 ●何の役に立つの?:後述の「Learning Support Book」にアンケート結果を反映することで、他の学生の修学上の工夫を知り、困ったときのヒントが得られる  興味のある学生の方は、下記のURLまたはQRコード より詳細をご確認の上、ご協力頂ければ幸いです。 【研究協力者募集ページ】 http://radd.human.tsukuba.ac.jp/recruitment/index.html 【修学支援WEBコンテンツの試験運用】 〜あなたの学びを応援する〜 Learning Support Book 発達障害学生支援プロジェクトでは9月より修学上の「困った」を解決するための便利ツールや情報、他の 学生の工夫などを掲載したWEBコンテンツを配信して おります。試験運用中のため、コンテンツの内容はまだ少ないですが、徐々に充実させていく予定です。  会員制コンテンツとなりますので、興味のある学生・教職員の方は下記のURLまたはQRコードよりアクセスして、右上の新規登録ボタンより登録をお願いします。  登録すると、コンテンツが見られるようになります。 【Learning Support Book】 https://tsukuba-access.e-manager.jp/ 奥付 ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンター アクセシビリティ部門 アクセシビリティ部門に関するご相談がございましたら、下記までご連絡ください。 場所:第二エリア 2A208 開室時間:8:30〜12:15, 13:15〜17:15 TEL/FAX:029-853-4584 (内線4584) E-mail:shogai-shien@un.tsukuba.ac.jp URL:https://www.human.tsukuba.ac.jp/shien/ Accessibility Newsletter (平成28年度) vol.1(通巻7号)