障害学生支援室(OSD)だより 平成26年7月 〜「筑波大学における障害学生支援に関する憲章」の策定〜  新年度が始まってから約4ヶ月間。春学期ももう終わりを迎えようとしています。あっという間ですね!  OSDだより第2号では、障害学生支援に関わる大きな「トピックス」と障害学生支援室(OSD)の活動内容を皆さんに深くご理解いただくための「ニュース」と「コラム」をお届けします。 「筑波大学における障害学生支援に関する憲章」の策定  OSDだより第1号にてお伝えしましたとおり、平成28年4月に施行予定の障害者差別解消法では、大学等(各受入教育組織)において、障害学生に対する「合理的配慮の提供」が義務として課せられます。  OSDでは、「障害学生と一般学生がともに学ぶことを通して、共生の時代を担う社会人を育成する」ことを目的とし、障害の有無にかかわらず、意欲と能力のある学生にとって学びやすい環境づくりをこれまで積極的に行ってまいりました。  今後、そのような環境づくりをより一層前進させ、すべての障害学生の修学に対し、合理的配慮を提供するため、本学では、その理念となる「筑波大学における障害学生支援に関する憲章」を策定し、学長が決定しました。 http://www.tsukuba.ac.jp/about/disability.html  OSDでは、各教育組織が、障害学生への教育・支援に窮することのないよう、助力・助言を行います。障害学生支援に関してご質問やご相談がございましたら、OSDまでお気軽にお問い合わせください。 障害学生が、他の学生と同じように学ぶ機会を享受できるよう、教職員各位のより一層のご理解とご協力を何卒よろしくお願いいたします。 憲章における8つの柱 ・機会の確保と教育の質の維持 障害を理由に修学を断念することがないよう、修学機会の確保と教育の質を維持する。 ・情報公開 障害学生に対し、大学全体としての受入れ姿勢・方針について情報公開し、社会に対する説明責任を果たす。 ・支援の決定 障害学生本人の要望に基づいた合理的な調整を行う。 ・教育方法 情報保障、コミュニケーション上の配慮、公平な試験、成績評価などにおける合理的配慮を行う。 ・支援体制 大学全体として専門性のある支援体制の確保に努める。 ・施設・設備 安全かつ円滑に学生生活を送れるよう、キャンパスのバリアフリー化に配慮する。 ・研究・研修 障害学生支援に関する組織的な研究、および教職員に対する研修(ファカルティ・ディベロップメント(FD))を実施する。 ・実施体制 学生の修学に関わる全ての組織は、障害学生支援室をはじめとする学生支援の関連組織と連携しながら、合理的配慮を実施する。 また新たにピア・チューターの仲間が増えました!  筑波大学では、トレーニングを受けた学生が、障害学生への支援活動に携わっており、彼らを「ピア・チューター」と呼んでいます。「ピア(peer)」には、「仲間=みんな」で「みんな」を支援するという意味が込められています。  OSDでは、視覚障害、聴覚障害、運動・内部障害それぞれの支援技術について、「ピア・チューター養成講座」を実施し、一定の支援技術を身につけたピア・チューターが、質の高い支援を障害学生に提供できるような体制作りに努めています。このうち、初心者向けの「ピア・チューター養成講座」を授業化し(自由科目(特設)「障害学生支援技術」)、春学期・秋学期にそれぞれ養成講座を行い、受講者には単位を認定しています。  春学期の全てのピア・チューター養成講座が無事終わり、約50名のピア・チューターがOSDに仲間入りしました!例年の1.5倍の多さで、OSD教職員・関係学生一同、大変うれしく思っています。  ですが、まだまだピア・チューターが足りていません!周りの学生に宣伝いただけますと幸いです。 このピア・チューター養成講座では、多くの先輩ピア・チューターが企画や当日スタッフを担当してくれています。障害学生もピア・チューターとして積極的に関わり、自身の支援ニーズをピア・チューターの卵たちに伝えています。 ((写真))弱視体験 ((写真))パソコン要約筆記の実習 ((写真))車いす利用体験  本学には、視覚に障害のある学生も在籍しています。視覚障害者には読み書きの文字に点字を使う「盲」の人だけではなく、補助具や機器を使って墨字(通常の文字)を拡大して読む、「弱視」の人もいます。弱視の学生は、板書は、視覚補助具のひとつである単眼鏡を使って見ていることが一般的です。視覚に障害のない人にとって「少し見えづらい」程度のコントラストの低い配色でも、弱視の人にとっては見えなくなってしまうことがあります。たとえば、赤色や青色のチョークは黒板の色に溶け込んで見えないため、授業担当の先生方に、赤色・青色のチョークを使わないようにお願いしている学生がいます。  スライドや板書において、例えば以下のような配慮があると、より多くの人にとって見やすいものとなります。 1.配色の配慮  板書で見やすい色使いは、黒板の色とのコントラストがはっきりした白、黄色などです。発色の鮮やかな「蛍光チョーク」(写真右側)でしたら、比較的はっきり見えます。ただし、見え方は人によって違うため、蛍光チョークでも見えにくい人もいることにも注意が必要です。緑色のレーザーポインターも有効です。 2.色以外の情報で伝える  スライドや板書は、「色」だけで区別しないことが基本です。具体的には、以下のような方法があります。 ・重要性を強調するため文字を色分けするときは、別の色でアンダーラインや 囲み をつける。 ・色分けは言葉でも説明する。 ・グラフを色分けするときは色だけでなく文字、記号も併記するとともに、色分けの境界に線を入れるなどしてはっきりさせる。  これらと関連して、実験の薬品ラベルや書類の用紙は色だけでなく名称の文字を見て確認するとよいでしょう。 ((写真:蛍光チョークと通常のチョーク)) <筑波大学障害学生支援室> (Office for Students with Disabilities:OSD) 障害学生支援に関するご相談がございましたら、下記までご連絡ください。 場所:第2エリア 2A208 開室時間:8:30〜12:15 13:15〜17:15 TEL/FAX: 029-853-4584 (内線4584) E-mail:shougai-shien@un.tsukuba.ac.jp URL : http://www.human.tsukuba.ac.jp/shien/