障害学生支援室(OSD)だより 第3号 平成27年1月 〜障害のある受験生の入試〜 障害のある受験生の入試情報  近年、障害学生に対する合理的な配慮が求められるようになってきており、入試においてもその考え方が適用されるようになってきました。大学入試センター試験時の配慮は、障害の状態等を総合的に判断し、下記のような配慮が行われています(表1)。平成26年度のセンター試験では、2416名の受験生が個の状況に応じた配慮を受けることを許可されました。今後、障害の状態像の多様性から、大学入試センター試験時の配慮内容もさらに拡大していく可能性が考えられます。また、本学でも、個別学力試験時の配慮について、大学入試センター試験での配慮に準じて実施されるケースがみられます。あわせて、これらの配慮は、入学後の修学上の配慮(授業や定期テスト等)においても参考にされる場合がありますが、その一方で、入試時には配慮の必要がない学生でも、修学上配慮を必要とする場合もあります。 表1 平成26年度大学入試センター試験における障害別配慮事項と配慮決定者数 障害種 人数 配慮内容 視覚障害 75 点字回答,文字回答,拡大文字問題冊子の配布,その他(拡大鏡等の持参使用,座席指定等) 聴覚障害 409 リスニングの免除,スピーカーから直接音声を聞く方式等,手話通訳士の配置,注意事項等の文書による伝達,その他(補聴器または人工内耳の装用,座席指定等) 肢体不自由 273 チェック回答,代筆回答,時間延長,別室の設定,座席の指定,その他(別室の設定,拡大文字問題冊子の配布,注意事項等の文書による伝達等) 病弱 89 別室の設定,座席の指定,その他(別室の設定,拡大文字問題冊子の配布,注意事項等の文書による伝達等) 発達障害 158 マークシート回答,チェック回答,時間延長,その他(別室の設定,拡大文字問題冊子の配布,注意事項等の文書による伝達等) その他 1412 別室の設定,座席の指定,その他(車イスの持参,試験場への乗用車での入場,杖の持参使用,付添者の同伴等) 平成26年度 大学入試センター資料を参考に障害学生支援室が作成 http://www.dnc.ac.jp/sp/data/shiken_jouhou/h26/ 教育組織の教職員のみなさんへのお願い ・合格者の中に障害学生がおり、就学後に障害学生支援室からの支援を必要とする場合は(特に入試時に配慮事項があった学生については入学後も継続した修学支援が必要であると考えられます)、可能な限り早く障害学生支援室まで情報を提供くださると、スムーズな支援体制を構築することができます。 ・障害のある受験生から入試に関するお問い合わせがあった場合は、受験生より直接入試課へお問い合わせいいただきますようご指示ください。特に、受験生から自分の障害が推薦入試等の応募要件に適合しているかについてのお問い合わせが多く見られますが、これは教育組織と入試課の判断によって決定されるため、障害学生支援室ではお答えできません。 コラム:聴覚障害学生とすすめるゼミ ((写真:ゼミの風景))  今回は一般的な講義場面ではなく、ゼミや研究会での聴覚障害学生への支援について考えてみたいと思います。  ゼミなどの討論場面では下記の様な場面をよく目にします。 学生A:「…と考えております。」 先生 :「(発言終了とほぼ同時に)今の意見に関しては△△…だと思うがAくんはどう思いますか?」 学生A:「私は□□だと思います。というのも◯◯だからで…」 先生 :「(話を遮り)いや、それは××だからではないんですか?」 学生A:「えーと……、それはですね……」 学生B:「(話に割って入る)私はAさんの意見に賛成です。やはり…」  議論がヒートアップしてきて、発言が重複するのは仕方のないことではありますが、聴覚障害学生にとっては話者が特定できない状況で話を理解することは非常に困難を伴います。また、PC要約筆記などの情報支援を行っておりますが、発言が共起してしまうとそれを文字として伝えることが非常に困難になり、結果として聴覚障害学生に十分な情報を提供できないという事態に…  そのため、聴覚障害学生がいる場合は、以下の様なルールを設定してゼミや研究会を行うことをおすすめします! ルール1:司会者を決める  司会者が発言者を指名するのみでなく、議事を随時整理するで、意図的にポーズが発生し、聴覚障害学生の理解の向上、および情報支援の補助につながります。 ルール2:話者の目印を決める  目印(例:マイク、ボール…etc)をもっている参加者のみ発言できるというルールをつくることで、次はだれが話すのか、今誰が話しているのかが視覚的にわかるようになります。また、発言の共起も避けることにつながります。  他にも、発言の前には必ず自分の名前を名乗る(視覚障害学生が参加しているゼミでも有効です)、発表資料をなるべく前日までに配る(予習することで、聞こえづらい情報を予測しながら理解できます)などの配慮も有効です。  これらは聴覚障害学生のための配慮でもありますが、ゼミ参加者全体の理解の向上にもつながります。みなさんもぜひ実践してみてください!  *聴覚障害学生とすすめるゼミに関してより詳しいことを知りたい方は、「聴覚障害学生の生活支援」(http://outreach33.jp/?p=254#more-254)も併せてご参照下さい。 教職員向けFD研修会 発達障害学生への理解と支援 「発達障害学生への理解と支援 part2〜教職員の「困った」を支援する質疑応答ワークショップ?」を開催します。授業やゼミ等で発達障害学生とどのように関わったらよいかわからない、どのように指導したらよいか等を専門家の先生方に相談してみませんか?質疑応答が中心のワークショップですのでお気軽にご参加ください。 日時:2月20日(金)13:15〜15:15 場所:1H201教室 問い合わせ先: キャリア支援室(029-853-4584), 障害学生支援室(029-853-4584) 教職員・障害学生向け 障害学生支援懇談会 普段支援を受けている障害学生、各障害学生支援チーム学生スタッフ、教職員が障害ごとに分かれて、支援状況の確認やニーズについて話し合います。参加を希望される教職員の方は、障害学生支援室までご連絡ください。 日時:2月5日(木)14:00-16:00 概要: 【第1部】全体会(14:00-14:20)  竹田一則障害学生支援室長 「大学での修学支援における合理的配慮」  場所:2B209教室 【第2部】障害別情報交換会 (14:30-終了次第各自解散)  視覚障害 2A209, 聴覚障害 2B208  運動・内部障害 2A210, 発達障害 2A211 問い合わせ先: 障害学生支援室(029-853-4584) ((画像:駐車マナーポスター)) 障害者用駐車場の違反駐車が増えています!  みなさんは、筑波大学に身体障害者用の駐車スペースがあることをご存知でしょうか。これらのスペースは普通の駐車場とは異なり、ドアを全開にして車いすの出し入れができるように、あらかじめ広く作られています。また、教室へのアクセスを考慮して、なるべく建物の近くに設置されています。自宅から車いすでの通学が可能な学生がいる一方で、自動車でなければ通学が困難な学生もたくさんいます。そのため、これらの駐車スペースが利用できないと授業やサークル活動等に参加することができません。  この駐車スペースを利用するためには各エリア支援室への申請が必要なのですが、最近では申請を行っていない車両が無断で多く停まっており、運動障害学生が駐車スペースを利用できないとの声が多くなっています。特に違反駐車は平日の夜間や土日に多く、とあるエリアでは身体障害者用駐車スペースに停めてある車の70〜80%が申請書を掲示していない違反駐車でした(障害学生支援室調べ)。そのため、夜間に研究活動を行う大学院生や、土日の集中講義に出席する学生がとても困っています。  ほんの少しの心がけで、これらの問題は解決されます。障害学生支援室では今後も学生への周知を行ってまいりますので、みなさんもご協力よろしくお願いいたします。 <筑波大学障害学生支援室> (Office for Students with Disabilities) 障害学生支援に関するご相談がございましたら、下記までご連絡ください。 場所:第2エリア 2A208 開室時間:8:30〜12:15、13:15〜17:15 TEL/FAX: 029-853-4584 (内線4584) E-mail:shougai-shien@un.tsukuba.ac.jp URL : http://www.human.tsukuba.ac.jp/shien/