障害学生支援(OSD)だより 第4号 平成27年6月 〜各教育組織における障害者差別解消法施行の準備はお済みですか?〜 合理的配慮提供までのプロセス  2016年4月施行の「障害者差別解消法」に伴い、全国の国立大学が、障害学 生への合理的配慮の提供に向けて、動き出しています。障害学生支援室でも、 障害学生支援室としての障害学生に対する対応要領を作成しています。さら に支援の提供について、今後は支援申請から実際に合理的配慮が提供される までのプロセスを整理し、支援内容等についても書面にて確認および署名を することで明確化していくことが必要になると考えられます。これらのプロ セスは学生の状態に応じて、必ずしもすべてを実施する必要がない場合や、 順番を変更することがありますが、概ね下図のようなプロセスにしたがって 支援提供に至ります。教職員の皆様、ならびに障害学生に関連する皆様にも、 ご相談させていただいたり、ご署名を頂く機会も増えるかと思いますが、何 卒ご理解いただけますと幸いです。  なお、詳細は、障害学生支援懇談会にてお知らせいたしますので、情報が 必要な先生方はぜひご参加ください。なお、個別のご相談にも対応いたしま すので、どうぞお気軽にご連絡ください。 図1 新入障害学生入学時対応の流れ ・入学前 @ 障害学生入学予定の連絡(受入教育組織 → 障害学生支援室) A 案内発送(障害学生支援室 → 学生) B 支援希望連絡(学生 → 障害学生支援室) C 聞き取り、事項共有、個別相談日程調整(障害学生支援室 → 受入教育組織、受入教育組織 → 障害学生支援室) D 個別相談(受入教育組織主催)  新入障害学生、受入教育組織の担当教員及び職員、障害学生支援室教員の三者で協議し、支援ニーズの把握と支援内容の検討を行う。 参加者例: 当該学生、保護者、学類長、担当教員、事務職員、OSD専門教員、学生支援チームスタッフ ・入学後 E 新入障害学生ガイダンス(OSD主催)  新入障害学生全体を対象に、障害学生支援室の紹介および支援利用の 流れの説明を行うと同時に、共通科目に関する支援の個別面談も実施する。 参加者例: 当該学生、担当教員、事務職員、OSD専門職員 教育組織の教職員のみなさんへのお願い もうすぐ大学院推薦入試が始まります。入試時に受験上の配慮を求めた受験生が合格し た場合には(特に入試時に配慮が必要な受験生は入学後も継続した修学支援が必要であ ると考えられます)、可能な限り早めに障害学生支援室まで情報を提供くださると、ス ムーズな支援体制を構築することができます。 発達障害のある大学生 「発達障害」という言葉はこの10年あまりで専門家以外の人にもだいぶ身近 なものになり、テレビや新聞記事などでも取り上げられることが多くなりまし た。ましてや教育の現場にいる大学の教職員のみなさまにとっては一度ならず 耳にしたことがある単語なのではないでしょうか。 発達障害は、アスペルガー症候群、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障 害(LD)などの総称です*。一般に、発達の「遅れ」によって生活に困難のある 人を知的障害、「偏り」によって生活に困難のある人を発達障害と呼びますが、 この「偏り」が「人とうまくコミュニケーションがとれない」「先の見通しを もって計画的に動くことがうまくできない」「読み書きだけが極端に苦手」と いった障害特性として表に出てくることになります。 今や発達障害のある人が大学に進学するのは珍しいことではありません。日 本学生支援機構の調査によると、平成26年5月の時点で、全国の大学の6割以上 にあたる478校で4,801人(診断はないが支援を受けている学生を含む)の発達 障害のある学生が何らかのサポートを受けながら大学生活を送っています。そ してこの数は今後、さらに増えていくと予想されています。 グラフ:障害学生数の推移(障害別)(日本学生支援機構,2013) 発達障害は、そのアンバランスの現れ方が一人ひとり異なります。そのため、 それぞれのアンバランスの状態(特性)に合わせてサポートの方法をオーダー メイドすることが必要となってきます。いくつかの対応例については障害学生 支援室のホームページにも記載しておりますので、ぜひご覧いただければと思 います(http://www.human.tsukuba.ac.jp/shien/points/#4)。 * アメリカ精神医学会が出版する「精神障害の診断と統計マニュアル」の最新版では、 「自閉スペクトラム症」「注意欠如・多動症」「限局性学習症」という新しい呼称と定義 が提案されていますが、ここでは一般に普及している用語を用いました。 教職員・障害学生向け 障害学生支援懇談会 今回は、2016年より施行される「障害者差別解消法」が法的な効力をもつものであることを ふまえ、障害学生支援室や教育組織の先生方が難しいと感じたケースについてご紹介し、 このようなケースに対して、どのような対応をしていくか皆様方と考える機会とさせていただ ければ幸いです。 参加を希望される教職員の方は、障害学生支援室までご連絡ください。 日時:7月3日(金)14:00-16:00 概要: 【第1部】全体会(14:00-14:50) 障害学生支援室における入学から合理的配慮内容合意までのプロセス 〜障害学生支援における難しい事例から考える〜 場所:2A411教室 【第2部】障害別情報交換会 (15:00- 終了次第各自解散) 視覚障害 2A411, 聴覚障害 2A403 運動・内部障害 2A404, 発達障害 2A410 問い合わせ先: 障害学生支援室(029-853-4584) 障害学生支援ガイド 障害学生への対応や困ったときの連絡先などの情報が掲載されている障害学生支援ガイド が完成しました。 利用を希望される皆様は、障害学生支援室までご連絡をお願いいたします。 問い合わせ先: 障害学生支援室(029-853-4584) ピア・チューター募集 ピア・チューターが不足しています。 研究室の学生で支援活動に興味のある方がおりましたら、ぜひご紹介ください。 問い合わせ先: 障害学生支援室(029-853-4584) 発達障害学生支援に関する プロジェクトが始まりました 筑波大学では平成19年に障害学生支援室ができる以前から、 視覚障害や聴覚障害、運動・内部障害のある学生への支援に長く取り組んできた歴史 があります。しかしアスペルガー症候群、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)* といった、いわゆる「発達障害」のある学生への支援は、ここ数年でようやく支援の体制 が整ってきたところです。そこで発達障害学生支援のより一層の充実を目指して、 障害学生支援室では今年度より特別プロジェクトを開始しました。 プロジェクトでは新たに下記の2名が専任スタッフとして加わりました。 保健管理センターや就職課・キャリア支援室等とも連携を取りながら、 @発達障害のある学生の修学に関するサポート、 A発達障害のある学生への支援に関する調査・研究を進めていく予定です。 今後の障害学生に関する学内の行事・会議などで顔を合わせる機会もある かと思いますので、お付き合いのほどをどうぞよろしくお願い致します。 障害学生支援室 発達障害プロジェクト専任 准教授 五味洋一(ごみ よういち) 助教 田原 敬(たばる けい) プロジェクトのロゴ紹介 RADDは、Reasonable Accommodation for Developmental Disabilities (発達障害(学生)への合理的配慮)の頭文字をとった、本プロジェクトの略称です。 ロゴの配色は「さまざまな個性(カラー)をもった学生がともに豊かな学生生活を送 ることができるよう支援を充実させる」というプロジェクトの趣旨を表現しています。 デザインは本学芸術専門学群構成専攻の櫻井咲人さん、鎌田瑞季さんによるものです。 <筑波大学障害学生支援室> (Office for Students with Disabilities) 障害学生支援に関するご相談がございましたら、下記までご連絡ください。 場所:第2エリア 2A208 開室時間:8:30〜12:15、13:15〜17:15 TEL/FAX: 029-853-4584 (内線4584) E-mail:shougai-shien@un.tsukuba.ac.jp URL : http://www.human.tsukuba.ac.jp/shien/