2020年2月8日(土)に「発達障害のある高校生向け大学生1日体験講座(冬)」を開催しました!
講座の様子について、ダックスさんがマンガでメモを残してくれました!
少しでも雰囲気が伝われば嬉しいです。マンガの下に文章も載せておきます。
この講座は筑波大学令和元年度社会貢献プロジェクトの支援のもと、茨城県教育委員会・つくば市の後援により実施され、高校生7名と保護者8名の計15名が参加しました。
発達障害のある高校生が夢をもって大学進学を選択できるように、大学生・大学生活とは何かを理解すること、また、どんな大学に行っても必要となる「自己理解」を促すことを目的としたアプリケーションの体験や特性研究を行いました。
本講座の特徴として、参加された高校生1人に対して筑波大学の学生1人がメンターとして1日一緒に行動することで、1日の中で参加された高校生から気になったこと・聞きたいことにすぐに答えられるようにしました。
保護者の方は後方で様子を見ることができ、保護者の方にとっても現代の大学生活を理解するきっかけになるようにしました。
講座は10時00分〜15時30分までの間、1コマ50分程度の枠組みで1時限目から4時限目まで構成されました。
<1時限目:模擬講義「発達障害と大学生活」>
発達障害のある大学1年生がどのような大学生活を送っているかを知るとともに、模擬講義を受けながらノート・メモの取り方を学び、大学での履修計画を実際に立てる演習を行いました。
模擬講義の中では、発達障害のある学生が受験から入学、在学中に困ることや大学特有の仕組み(学部選択、シラバス、履修、ゼミなど)を筑波大学の教員が講義形式で説明しました。
模擬講義では実際にレジュメにメモを取る練習を行い、高校生が書いたメモに対して筑波大生メンターからアドバイスをしたり、実際の大学生活についても情報提供しました。
履修計画を立てる演習では、実際の筑波大学の授業シラバスを用いて、1年次に取るべき授業の履修計画を考えました。用いる授業の内容を幅広い専門科目にすることで、参加した高校生の興味・関心に沿った履修計画を立てる機会となりました。
参加した高校生からは「大学生のような感じがした」「授業の形式や単位についてなど初めて知ることが多かった」、保護者の方からは「講義内で授業カリキュラムを作成するシミュレーションがイメージで分かったので良かった」「大学生になった時の細かな対処法が今から知れて安心した」などの感想がありました。
<2時限目:筑波大生メンターによる大学生活の体験談(高校生)/大学での支援体制の説明(保護者)>
模擬講義を受けた後で、実際の大学生がどんな生活を送っているのかを知り、直接話してみないとわからない大学生のイメージを理解するために筑波大生メンターが大学生活の体験談を高校生に伝えました。
まず、発達障害のある卒業生をゲストとしてお招きして、入学のきっかけや大学生活で困ったこと、大学入学前にできると良かったことなどをお話いただきました。
その後、ペアになっている高校生とメンターがそれぞれ、入学までの勉強のことや大学の授業のこと・生活のこと・人間関係のこと・将来のことなどを少人数で話す機会を設けました。
参加した高校生からは素朴な疑問や質問が出て、筑波大生からは大学生ならではのリアルな生活の様子について高校生と情報を共有する機会となりました。
また、保護者の方を対象にして、筑波大学DACセンターの障害学生支援担当スタッフによる、入試での合理的配慮申請や大学での支援体制の説明を行いました。
入試での合理的配慮申請についてまだまだ情報が行き届いていない現状を伝えながら、どのような配慮を求められるのか、手続きにあたり、どのようなことが必要なのかを保護者の方に伝える機会となりました。
参加した高校生からは「障害を持った人の生き方を知れた」「学校での困りごとを共有する機会がなかったので新しい発見もできた」、保護者の方からは「受験時の合理的配慮についてもっと調べたいと思った」「どのような支援があるのか分かってよかった」「保護者から離れたことで色々聞けたことが子どもにとってよかったと思う」などの感想がありました。
<学食体験・学内見学ツアー>
昼食も兼ねて、ペアになっている筑波大生メンターと一緒に筑波大学の学食でランチをしました。
学食ならではのメニューの選び方や自分の特性を踏まえた食事や環境の選び方など、大学生になったつもりで体験する時間になりました。
学食体験後には簡単な学内見学を行いました。
<3時限目:自分の特性を理解・共有するアプリの説明・体験>
午前中は大学生や大学生活を理解する目的のプログラムで、午後はどの大学でも求められる「自己理解」をテーマに自分の特性を理解・共有するアプリケーションの説明・体験を行いました。
特に、自分の特性(得意・不得意)を整理する方法や不得意なことへの対処法のアイデアを知り、自分の特性を他の人に伝えることについて考えることを目的としました。
筑波大学で開発している自己理解サポートアプリ「マイメモ」を活用して、参加した高校生自身が自分の得意なこと・苦手なことをスマートフォン等から簡単に登録して整理する方法を伝えました。
<4時限目:大学生になる自分の特性研究>
3時限目に引き続き、自己理解サポートアプリ「マイメモ」を活用して、参加した高校生が得意なこと・苦手なこと・苦手なことへの対処法を筑波大生メンターと一緒に考えました。
特に、得意なことが浮かびにくい際に、どうやったら得意なことを思い浮かべられるのかについて教員からヒントを示しながら、それぞれの高校生が自分の特性を考える(研究する)場としました。
苦手なことへの対処法については、筑波大学DACセンターで開発している支援情報配信サービス「Learning Support Book」を活用して、発達障害のある方が実際に行っている工夫や対処法などを参照しながら、自分なりの対処法のアイデアを見つける時間になりました。
参加した高校生からは「全てのアプリが良いと思った。これがあると便利だと思うものばかりだった」「自分のことを理解する良い機会だった。特性がどちらに転ぶのか自分次第で変わるということを学べた」、保護者の方からは「家で使ってみたい」「普段、自分を見つめ直すということがないので、今日、自分の得意・不得意を考えるきっかけになった」などの感想がありました。
<講座全体を通して>
本講座は、夏(8月25日)に引き続き、2回目となりました。夏の講座よりも筑波大生メンターの人数も増え、内容もバージョンアップすることができました。
参加者の中には夏の講座から続けて2回参加された方もおりました。
講座全体を通して、参加した高校生からは「話としてとても興味深かった。大学生の生活が分かったり、大学の研究についても良い話が聞けた。理解していくれる人がいることも分かった」、保護者の方からは「大学入試にあたり、前もって必要な情報を得ることができた」「メンターさんとの相性がよかったようで、とても楽しそうで大学生活や特性との共生について前向きに考えられたと思う」などの感想があり、非常に高い満足度となりました。
参加した筑波大生メンターにとっても「活発にコミュニケーションがとれた」「高校生と深い会話ができてよかった」などの感想があり、現役の大学生にとっても高校生との交流で新たな経験をする機会となりました。
今回は筑波大学令和元年度社会貢献プロジェクトの援助を受けて実施することができました。
今後も講座の内容をよりバージョンアップして、関係機関と連携を進めながら、継続的に実施していきたいと考えています。