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ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンター

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障害のある学生の受講を想定した遠隔授業の対応について(ver.1)

【ご覧いただいている方へ】

2022年度よりver.2として更新しました。下記のURLからご確認ください

https://dac.tsukuba.ac.jp/shien/support/online/

 

【趣旨】

 「新型コロナウイルス感染症の拡大状況を踏まえた対応について」(令和2年4月1日)より、授業は遠隔(オンライン)によって行うことが基本となりました。
遠隔授業においては物理的な移動を伴わないため、車いす等の運動障害のある学生にはメリットがあります。一方で、視覚情報や音声情報が通常講義よりも煩雑となりやすいため、視覚・聴覚等の感覚障害のある学生にとっては特に配慮を要する点があります。

 この文書では、遠隔授業等において障害等に起因して生じやすい課題と対処法の案を提示することで、授業担当教員等が障害の有無にかかわらず適切に対応できることを目的とします。
基本的に障害のある学生が受講する授業では、授業担当教員に渡される配慮依頼文書の内容に基づき、合理的配慮の提供として下記の対応を行っていただければ幸いです。
また、下記の対応は授業のユニバーサルデザイン化(障害の有無にかかわらずアクセスしやすい環境設計)にも役立ちますので、障害のある学生が受講しない授業においても推奨いたします。
 なお、この文書は情勢の変化に伴い、更新することがあります。

【聞くことの困難を有する学生(聴覚障害・発達障害等)】

<遠隔授業で生じやすい課題>

 パワーポイント等の視覚資料と講師の音声により進められるような遠隔授業の場合、視覚資料に掲載されていない音声情報を取得することが難しくなります。

また、遠隔授業では通信環境によって音割れ等の音質不良が発生する確率が高まるため、正確な聴取が難しい場合もあります。

<授業担当教員等の対応>

(1)授業をビデオや音声ファイルに記録・配信する場合(オンデマンド配信)
① 講義資料はなるべく文字情報を多めにしてください。
② 動画教材には字幕を挿入してください。
   ・遠隔授業で使用する動画データへの字幕挿入にはMicrosoft Streamが活用できます。
     Microsoft Streamでは動画をアップロードすることで自動的に字幕を作成する機能があります。

           (設定方法は「別記」を参照ください)
   ・自動生成した字幕(トランスクリプト)は正確でない場合も多くあります。

    その場合には、授業担当教員の方で「トランスクリプト」を適切な用語に編集してくださいますよう

    お願い申し上げます。
③ 動画への字幕挿入が難しい場合、あるいは音声ファイルのみを提供される場合は、音声情報 に対応する文字(読み)原稿を対象学生に提供してください。

   ・ パワーポイント資料を使用される場合は、ノート(メモ)機能に読み原稿を記載してデータを提供する

    方法が利用できます。

    音声ファイルのみの場合には、テキストファイルやwordファイルで原稿を提供する方法が利用できま

    す。
④ 可能であれば、事後に電子メールやmanabaの個別指導(コレクション)機能、テレビ電話(skype、zoom、microsoft teams等)で対象学生とコミュニケーションをとり、理解を確認してください。

 

※オンデマンド配信の場合には、教室におけるPC要約筆記が不要と考えられますので、基本的には学生ピア・チューターの派遣は行いません。

 

(2)同時双方向で授業をする場合(リアルタイム配信)

※リアルタイム配信で授業を行われる場合には、遠隔情報支援の調整が必要となりますので、予め対象学生にお知らせください

① 授業で使用する資料ならびに接続方法をあらかじめ対象学生ならびに学生ピア・チューターに送付してください。
   ・専門用語が含まれる場合、正確な情報支援のために事前準備が必要となりますので、完成版でなくても

    可能な限り詳細な資料をご提供ください。
② 障害のある学生から希望があり、コーディネート可能な場合は、遠隔情報支援を行うために学生ピア・チューターがオンラインで参加しますのでご了解ください。

   ・学生ピア・チューターはリアルタイムで行われる授業内容についてPC要約筆記もしくは手話通訳による

    遠隔情報支援を行います。
③ PC要約筆記や手話通訳の内容は画面共有機能を利用して障害のある学生がリアルタイムで確認できるようにします。
   ・教員側で画面共有機能を用いる場合は、同時に複数の画面共有が可能かを確認する必要があります。
④ 参加する教員ならびに学生等は口元が見やすいようにマスクはつけないでください。
⑤ 遠隔授業の場合には音声の伝達にタイムラグが生じることがありますので、通常の授業よりもゆっくり・はっきりとお話しいただくようにお願いいたします。
⑥ 可能であれば、事後に電子メールやmanabaの個別指導(コレクション)機能、テレビ電話(skype、zoom、microsoft teams等)で対象学生とコミュニケーションをとり、理解を確認してください。

 

※障害のある学生の希望者にはPCからの音声をダイレクトに補聴器へ音声を送る機器など支援機器の貸出ができます。ご希望の場合はDACセンターまでお知らせください。

 

【見ることの困難を有する学生(視覚障害・発達障害等)】

<遠隔授業で生じやすい課題>

 パワーポイント等の視覚資料を使用される授業の場合、視覚資料から情報を取得することが難しくなります。また、授業資料をPDF等のデータで提供される場合はデータ形式によって視覚障害等のある学生が使用するスクリーンリーダー(文字を音声読み上げするソフト)が使用できない場合もあります。その他、動画による遠隔授業の場合、特に全盲学生については配信された授業の音声をパソコンで聴きながら、同時にそのパソコンによってワードやパワーポイントなどの教材の音声読み上げを行う必要があり、音声を二重で確認する負担が生じ、学習効率が悪い場合もあります。

 

<授業担当教員等の対応>

(1)オンデマンド配信・(2)リアルタイム配信共通
① 全盲学生が受講する場合には、「主たる情報」を動画や配信内容あるいは提供された電子ファイル(パワーポイントやテキストファイルなど)のどちらかに極力集約して、どちらから情報取得するべきかお伝えください。
② 遠隔授業で使用するパワーポイント等の視覚資料は、内容を読み上げるなど音声による説明を加えてください。また、その際には「この」などの指示語の使用は極力避けてください。
③ 点字を用いる学生が受講する授業でパワーポイントを使用する場合は、事前にパワーポイント(.pptx)等の元データによる電子データをご提供ください。その際、PDFファイルは音声で読み取りが困難です。学生本人が限定的に使用いたしますので元データのご提供をご理解ください。なお、図表や画像を用いる場合には「代替テキスト」に簡単な図表の説明を追加してください。

   ・「代替テキスト」とは図表や画像の説明文を挿入する機能です。事前に挿入しておくと音声読み上げ

    ソフトに対応して図表や画像の説明をします(例:「この写真は実験の様子です」など)。

    Microsoft Officeではいずれも標準機能で使用できます。
④ 弱視学生が受講している授業でパワーポイント等の視覚資料を使用する場合は、他の学生に資料内容を配付するか否かにかかわらず、電子データ(PDF等)をご提供ください。
   ・ 弱視学生の場合には電子ファイルの拡大機能を利用するため、PDFなどの編集不可データでも構わない

    場合があります。
⑤ 提供資料にPDF形式を用いる場合は、テキスト認識が可能であるかをご確認ください。
   ・お手持ちのPDF形式でテキスト認識が可能であるかどうかは、キーワード検索ができるかで簡易的に

    確認することができます。

    詳細なアクセシビリティチェック機能はAdobe Acrobatにも搭載されています。
⑥ 授業で使用する教科書・参考書・文献が確定している場合は、可能な限り早めに、対象学生にお伝えください。
  ・視覚障害のある学生においては、指定された教科書や参考書・文献の内容を確認する際にも音声読み上げ

   ソフトや拡大機能等を利用する必要があり、テキストデータ化するための準備が必要なことがあります。
⑦ 可能であれば、事後に電話や電子メール、manabaの個別指導(コレクション)機能、テレビ電話(skype、zoom、microsoft teams等)で対象学生とコミュニケーションをとり、理解を確認してください。

 

【筆記や操作、会話に困難を有する学生(運動障害・発達障害等)】

<遠隔授業で生じやすい課題>

 上肢の運動に困難のある学生では、授業内容についてノートを取ること(筆記)がスムーズではない場合があります。特に標準的なマウスやキーボードではなく、専用の入力装置を用いている場合には通常よりパソコンの操作にも時間がかかることがあります。また、講師の音声を聞き取ることや学生から発話をすることがスムーズではない場合があります。

 

<授業担当教員等の対応>

(1)授業をビデオや音声ファイルに記録・配信する場合(オンデマンド配信)
① 動画教材を用いる場合には、可能な限り、十分な公開期限を設定してください。
   ・上肢の運動に困難のある学生では、筆記や操作に時間がかかる可能性を考慮した期限設定をする必要が

    あります。
② 受講中あるいは受講後に筆記試験や課題提出等が求められる場合には、対象学生と事前に相談して適切な提出方法や時間・期限についてご確認ください。

 

(2)同時双方向で授業をする場合(リアルタイム配信)
※リアルタイム配信で授業を行われる場合には、遠隔情報支援の調整が必要となりますので、予め対象学生にお知らせください
① 事前に授業で使用する資料等を対象学生にご提供ください。
② 聞き取りやすいようにゆっくり話すようにしてください。
③ 対象学生に発言や反応を求める場合に適切な方法を事前にご確認ください。

   ・発話が困難な学生の場合には、マイクだけでなくチャット機能を活用したコミュニケーションの方が

    学習にアクセスしやすい場合があります。

 

【試験時の配慮について】

   ・定期試験時において、授業受講時とは異なる合理的配慮を要する場合もあります。

    各授業担当教員においては配慮依頼文書の記載内容に沿って、適切な評価方法をご検討ください

    (例:試験時間延長、解答方法の変更など)。

 

【DACセンターにおける障害学生の対応】

 

   ・障害のある学生については、従前より行っている個々の学生に応じた授業における配慮事項を整理した

    配慮依頼文書を作成します。

    配慮依頼文書は、学生本人から、各授業担当の先生にメール等の電子形式で提出いたします。

    (通常授業に戻った際には、手渡しで提出させていただきます)

    なお、発達・精神障害等でコミュニケーション上の困難を有する場合にはDACセンター教職員から授業

    担当教員への通知を併用することがあります。
   ・障害のある学生からの修学に関する相談については、現在は電話や電子メール、テレビ電話(skypeや

    zoom等)を中心に利用して行っています。

    必要に応じて、対面による相談を行う場合もあります。

 

【問い合わせ先】

筑波大学ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンター(アクセシビリティ)
TEL:029-853-4584(内線4584)
E-mail:shougai-shien@un.tsukuba.ac.jp

 

【引用資料】

Association on Higher Education And Disability(2018)Five ways simple ways to increase accessibility in distance education courses.

https://www.ahead.org/about-ahead/about-overview/special-interest-groups/online-and-distance-learning

DO-IT(2020)Resources for making distance learning accessible.

https://www.washington.edu/doit/programs/accessdl/resources-making-distance-learning-accessible

 

障害のある学生の受講を想定した遠隔授業の対応について_v1

障害のある学生の受講を想定した遠隔授業の対応について_v1(教職員向け)

※別記:Microsoft Streamを用いた自動字幕作成の設定